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飲食店の損益計算書(PL)の見方|毎月チェックすべき5つのポイント

2026年3月29日

飲食店の損益計算書(PL)の見方|毎月チェックすべき5つのポイント

飲食店を経営していると、「毎月赤字なのか黒字なのか、よくわからない」「数字がどんぶり勘定になっている」といった悩みを抱えるオーナーは少なくありません。

実は、そうした悩みを解決する鍵になるのが損益計算書(PL:Profit & Loss Statement)です。

損益計算書は、会社がどれだけの売上を上げて、どれだけのコストをかけ、最終的にいくら利益を残したのかを一覧表で示した書類。飲食店オーナーが「経営の現在地」を知るために欠かせない経営指標なのです。

この記事では、飲食店オーナーが毎月必ずチェックすべき損益計算書の5つのポイントと、数字から改善アクションへ繋げる方法まで、実用的に解説します。

損益計算書(PL)とは?飲食店オーナーが押さえるべき基本

損益計算書は、一定期間(通常は1ヶ月または1年)の経営成績を金額で表現した財務書類です。飲食店の場合、以下の流れで構成されます。

基本的な構成:売上 → 原価 → 営業利益

  • 売上高:お客さまから得た飲食売上の合計
  • 売上原価:食材費、飲料費など、直接的な商品原価
  • 売上総利益(グロスプロフィット):売上高 - 売上原価
  • 営業経費:人件費、家賃、光熱費、広告費など、店舗運営にかかる費用
  • 営業利益:売上総利益 - 営業経費
  • 営業外収支:利息、融資返済など、営業外の収支
  • 当期利益(純利益):営業利益 + 営業外収支

この一連の流れを理解することで、「どこで利益が失われているのか」「どこを改善すれば利益が増えるのか」が見えてきます。

飲食店オーナーが毎月チェックすべき5つのポイント

損益計算書全体を細かく分析するのは大変です。ここでは、飲食店経営で最も重要な5つのポイントに絞りました。毎月、これらの数字を定点観測することで、経営の問題点を早期に発見できます。

ポイント①:売上高の推移

まず見るべきは売上高です。ただし、「今月の売上がいくらか」だけでなく、「先月比」「前年同月比」を必ず確認してください。

  • 前月比で5%以上の落ち込みがあれば、理由を調査(イベント不足、競合店オープン、季節性など)
  • 前年同月比を確認して、成長しているのか停滞しているのかを把握
  • 複数店舗ある場合は、店舗ごとの売上推移を比較

複数店舗を運営している場合は、店舗ごとの売上管理がさらに重要になります。

ポイント②:原価率(売上原価÷売上高)

飲食店経営で最も管理すべき数字の一つが原価率です。

一般的な目安は30~35%ですが、業態によって異なります。

  • ラーメン店:25~30%
  • 居酒屋:30~35%
  • ファミリーレストラン:30~40%
  • カフェ:25~30%

自店の原価率が業界平均より5%以上高い場合は、要注意です。

  • 食材の仕入れ価格が高くなっていないか
  • フードロス(廃棄食材)が増えていないか
  • メニュー構成に問題がないか

これらを一つずつ検証していく必要があります。フードロス削減について詳しく知りたい場合はこちらも参考にしてください。

ポイント③:営業利益率(営業利益÷売上高)

営業利益率は、営業活動だけで稼いだ利益の割合を示す指標です。飲食店の目安は5~10%程度。

営業利益率 = (売上高 - 原価 - 営業経費)÷ 売上高 × 100

営業利益率が低い場合、以下の3つのいずれかに問題がある可能性があります。

  • 原価が高い:食材費の見直しが必要
  • 人件費が高い:シフト管理や業務効率化の見直しが必要
  • その他経費が高い:家賃、光熱費、広告費などの削減を検討

逆に営業利益率が高い場合は、経営が健全な状態です。その条件を維持し、さらに改善できる部分がないか探すアプローチをとります。

ポイント④:主要経費の割合(人件費率、家賃率)

営業経費の中でも特に大きいのが人件費家賃です。これらの割合を定期的に確認しましょう。

  • 人件費率の目安:売上高の25~35%(業態による)
  • 家賃率の目安:売上高の5~10%(立地による)

人件費率が高い場合は、以下を検討してください。

  • 業務フローの無駄がないか
  • 営業時間を短縮できないか
  • スタッフの生産性は適切か

発注業務など、手作業が多い業務を効率化することで、スタッフの時間を生み出すことも重要です。

ポイント⑤:月次の増減率と季節性の把握

損益計算書は月次で見ることが大切です。数ヶ月分を並べて、以下を確認します。

  • 季節性の確認:どの月が売上が高く、どの月が低いか
  • 異常値の検出:通常と大きく異なる月がないか
  • トレンド分析:全体的に売上が増加しているのか、停滞しているのか

例えば、「8月は毎年売上が下がる」という季節性が分かれば、その月の事前対策(期間限定メニュー、キャンペーンなど)を立てることができます。

飲食店で見落としがちな損益計算書の活用法

原価と経費は分けて管理する

飲食店経営で多くのオーナーが陥りやすい間違いが、「原価」と「経費」を混同することです。

  • 原価:直接的に商品になる費用(食材費、飲料費)
  • 経費:商品にはならないが、営業に必要な費用(人件費、家賃、光熱費)

原価と経費を分けて管理することで、改善施策も異なります。

  • 原価が高い場合:仕入先の変更、メニュー構成の見直し
  • 経費が高い場合:業務効率化、設備投資による削減

予実管理(予算 vs 実績)を行う

毎月の損益計算書を見るとき、「今月の実績がいくらか」だけでなく、「事前に立てた予算と比べてどうか」も確認することが重要です。

例えば、営業利益が100万円だったとしても、予算が150万円だった場合は目標未達です。その理由を分析する必要があります。

複数店舗の場合は店舗別・月別の比較分析

複数店舗を展開している場合、全体の損益計算書だけでなく、店舗ごとの損益計算書を作成することが欠かせません

  • 店舗Aは営業利益率8%、店舗Bは営業利益率3%の場合、なぜ差が出ているのか
  • 高パフォーマンス店の運営方法を他店に展開できないか

店舗ごとの比較があってこそ、改善施策が具体的になります。

損益計算書から改善アクションへ

損益計算書を見ただけでは、経営は変わりません。数字から「何をするべきか」を導き出すことが重要です。

原価率が高い場合

  • 食材費の詳細分析:どの食材が高いのか、フードロスが多いのか
  • 仕入先の見直し:複数社から相見積もりを取得
  • メニュー構成の最適化:低原価で人気の高いメニューを優遇
  • フードロス削減原因分析から具体的な削減施策まで実行

人件費率が高い場合

  • 業務フロー分析:無駄な作業がないか、自動化できる業務がないか
  • シフト管理の最適化:売上予測に基づいた適切なシフト編成
  • スタッフの育成:生産性を高めるための研修・トレーニング

売上が停滞している場合

  • 顧客数と客単価の分析:顧客数が減っているのか、客単価が下がっているのか
  • メニュー単価の見直し:値上げできるメニューがないか
  • マーケティング施策:認知度を高めるための施策が必要

損益計算書を活用した経営管理のコツ

毎月の定点観測を習慣化する

損益計算書の威力は「定期的に見ること」で発揮されます。毎月、同じタイミング(月末など)に損益計算書を作成し、前月比、前年同月比を確認する習慣をつけましょう。

数字を店舗全体で共有する

経営数字は経営者だけが知っていても意味がありません。店長やスタッフに「現在の経営状況」を共有することで、全員が同じ目標に向かって動くようになります。

改善施策は「小さく始める」

損益計算書から課題が見えたら、いきなり大きな施策を実行するのではなく、小さな改善から始めることが大切です。その効果を測定し、うまくいったら横展開する、というアプローチを心がけましょう。

さらに詳しく学ぶ:関連記事

損益計算書を理解した上で、以下のトピックもあわせて確認すると、より実効的な経営管理ができます。

まとめ:損益計算書は「経営の羅針盤」

損益計算書は、単なる会計書類ではなく、飲食店経営の羅針盤です。毎月この5つのポイントをチェックすることで、以下が実現できます。

  • 利益が出ない理由が明確になる
  • 改善すべき優先順位が見える
  • 経営判断がスピードアップする
  • スタッフとの目標設定が具体的になる

「数字がよくわからない」という悩みは、決して珍しくありません。しかし、経営者がこの基本を理解することで、経営が劇的に変わります。

まずは自店の過去3ヶ月の損益計算書を並べて、「売上」「原価率」「営業利益率」の3つの数字を見比べてみてください。その動きから、次のアクションが自然と見えてくるはずです。

複数店舗を運営していて、各店舗の数字管理に課題を感じている場合は、体系的なコスト管理の方法を学ぶことで、さらに経営が整理されます。

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